ここでは、建築構造関係の書籍について紹介します。
私の持論ですが、「学生時代や若手社会人時代に建築関係書籍への無駄使いを気にすることは不要」だと考えています。得た情報はいずれ役に立つモリモリな知識となり、将来必ずペイできます。
無駄使いと思うのなら、全力で本に無駄使いしましょう!本を読みましょう!
目次
直感で理解する○○の基本シリーズ
(著:山浦晋弘、出版:学芸出版社)
「直感で理解する!構造設計の基本」「直感で理解する!構造力学の基本」
「直感で理解する!建築デザイナーのための構造技術の基本」
構造計算や構造力学に関する書籍はたくさんありますが、構造設計という仕事に焦点を当てた本はほとんどありません。この本ではその本質が解説され、建築構造の在り方が示されています。難しい数式は極力省略され、意匠設計者や若手の構造技術者、また建築関連の就職先を目指す学生などを対象に、読み手の直感に訴えてくる構成で建築構造の概要がわかりやすく執筆されています。「構造設計」、「構造力学」、「構造技術」とシリーズ化されているほど好評です。著者手描きの挿絵に味があり、片持ち部材の設計や鉄筋の納まりなど、基本的でありながらかゆい所に手が届く一冊となっています。
構造設計プロセス図集
著:大野博史、出版:オーム社)
直感シリーズ同様、構造設計の進め方を紹介した本は貴重です。大野氏の饒舌な語り口で、ディテールの詰め、躯体の魅力創造の過程がすんなり頭に入ってきます。技術力のある構造エンジニアはいかに己のバイタリティを用いてプロジェクトに愛を注ぎ込めるかだと思っていますので、構造設計する上で、非常に参考になる一冊です。「どうしてここまで小さい部材で構成できるのだ……」と思わず感嘆してしまうことでしょう。
施工がわかるイラスト建築生産入門
(編:日本建設業連合会、出版:彰国社)
現場を見る機会が少ない方におすすめです。建築施工の流れと詳細が素晴らしすぎるイラスト付きで解説された本となっています。むしろイラストがメインです。イラストだけでご飯が食べれちゃいます。新人の建築従事者や学生さんには是非とも読んでいただきたいですね。眺めるだけでもワクワクする一冊。
図解 建築と構造の接点 トラブル予防のツボ100
(著:仲本尚志 他、出版:学芸出版社)
建築意匠設計および構造設計をおこなう上で、おさえておくべき基本的な構造のポイントが記載されており、知っておいて損はない内容となっています。むしろ「そんなことまで知っていたのか!」と、構造設計者に驚かれるかもしれません。挿絵も充実しており、タッチが山浦氏の「直感シリーズ」に通ずるものがあります。そのためイラストと併せて内容がすんなり頭に入ってきます。建築構造の基本を知りたい方におすすめです。
構造設計を仕事にする:思考と技術・独立と働き方
(著:坂田涼太郎・山田憲明・大野博史 他、出版:学芸出版社)
名だたる構造設計者が数ページずつ、構造家の技術力、志し、普段どんなことを考えながら仕事を進めているのかなどについて執筆している豪華な本。構造家と呼ばれる人種はいわゆるアトリエ系の構造設計事務所に多く、内容も「アトリエ構造設計事務所のすすめ」に焦点が当てられています。建築家とのやりとりや仕事を進める上でのモチベーションなど、構造設計という仕事の醍醐味、ワクワク感など、責任感との狭間の胸踊る感覚が味わえる一冊です。
初めての建築構造設計 構造計算の進め方
(編:建築のテキスト編集員会、出版:学芸出版社)
弊社の新入社員はまずこちらの本をベースに構造設計の進め方を学んでいきます。基本的には構造計算の手順を示してくれていますが、手計算による方法の”いろは”を丁寧に解説してくれています。やみくもに計算を進めるだけではなくて、出てくる数式や計算法の意味合いも教えてくれるので、初心者には優しい内容となっています。ベテランの構造設計者も懐かしいと感じるのではないでしょうか。使い込まれている場合は、ボロボロとなっていることでしょう。
規基準の数値は「何でなの」を探る
(監修:寺本隆幸・大越俊男・和田章、出版:建築技術)
日頃の構造設計業務の中では、様々な数式や基準に出逢います。これらの成り立ちや生まれなど、気になることが山ほどあるのですが、それは諸先輩方の知識と経験の賜物です。いち構造設計者としてこの本のようにその由縁・歴史をなんらかの形で残すことはできないだろうかと考えています。普段使う数式や定数がどのように成り立ったのかを知ることは大きな財産になるでしょう。シリーズ化しておりパート3まであります。